986ボクスター年間維持費（税金・整備・保険）

986ボクスターは「中古で100万円台から買えるポルシェ」として人気があります。しかし本体価格が手頃だからといって、維持費まで国産車並みに収まるわけではありません。特に1996〜2004年式の全車両がすでに13年以上経過しており、いわゆる重課税の対象となるため、税金が割増になる点は大きな落とし穴です。さらに、ポルシェならではの消耗品や整備費用、保険料、燃料・駐車場代まで含めると、毎年の出費は思った以上に膨らみます。この記事では、986ボクスターを所有する際に発生する年間維持費を 税金・整備・保険を中心に6つの項目 に分けて解説します。

1. 自動車税と重量税

まず押さえるべきは税金です。986ボクスターは全車が重課税対象のため、通常よりも約15%高い税額になります。

2.5L／2.7L（排気量2,501〜3,000cc）：標準51,000円 → 重課税後 58,600円／年
3.2L S（排気量3,001〜3,500cc）：標準58,000円 → 重課税後 66,700円／年

さらに重量税も18年以上経過した車両では上がります。

重量税：2年ごとに37,800円 → 年間換算で 18,900円

つまり税金だけで年間 77,500〜85,600円 がかかります。これは国産車の倍近い負担であり、最初に確実に見込んでおくべき固定費です。

2. 車検費用

車検費用は整備内容や依頼先によって大きく差があります。

ディーラー：25〜40万円。純正部品を使用し、最新テスターで診断。安心感は抜群だが高額。
専門工場（ポルシェ専門店・輸入車整備工場）：15〜25万円。ディーラーより安価で、経験豊富なメカニックが対応するため現実的な選択肢。

車検は2年ごとなので、年間換算すると 8〜20万円。この金額にはオイルや消耗品の交換が含まれるケースが多いですが、大きな修理が加わると一気に高額化します。

3. 定期整備と消耗品

986ボクスターはスポーツカーのため、消耗品の交換サイクルは国産車より早めです。

エンジンオイル交換：1回あたり1.5〜2万円。年1〜2回で 2〜4万円。
ブレーキパッド・ローター：前後セット交換で10〜15万円。走行距離や走り方次第では数年に1度必要。
タイヤ：純正サイズはハイパフォーマンスタイヤ指定で、1セット10〜15万円。3〜4年ごとに交換。
冷却系部品：ラジエーターやウォーターポンプは故障時に10万円以上。オーバーヒート防止のため予防整備が望ましい。

これらを平準化すると 年間10〜20万円 程度。突然のトラブルが出ればさらに数十万円が追加される可能性もあるため、予備費を必ず確保すべきです。

4. 保険料

自賠責保険：車検2年で約20,000円（年間換算 1万円）。
任意保険：年齢や等級、条件で幅があります。
- 車両保険なし：年間 5〜8万円
- 車両保険あり：年間 10〜15万円

特に986ボクスターは修理費が高額になりやすいため、初心者には車両保険を付けておくのが安心です。その場合、年間保険料は10万円以上を見込むのが現実的です。

5. その他のコスト（燃料・駐車場）

燃料代：986ボクスターはハイオク仕様で、燃費は7〜9km/L程度。年間1万km走行すると 約18〜20万円。
駐車場代：都市部では月2〜3万円が一般的。年間にすると 24〜36万円。地方では自宅駐車場でゼロの場合もあり、地域差が非常に大きい要素です。

燃料と駐車場代だけで、税金や整備費と同等の負担になる場合があります。

6. 年間維持費のシミュレーション

ミニマムケース（専門工場＋軽整備）

税金：7.7万円
車検（年間換算）：8万円
整備：10万円
保険：7万円 合計：約32〜33万円＋燃料・駐車場

平均的ケース（整備も適度に実施）

税金：8万円
車検：12万円
整備：15万円
保険：10万円 合計：約45万円＋燃料・駐車場

ディーラー整備＋手厚いメンテ

税金：8.6万円
車検：20万円
整備：20万円
保険：12万円 合計：約60万円＋燃料・駐車場

燃料代20万円＋駐車場代30万円を加えると、年間 50〜90万円 が現実的なラインとなります。

✅ まとめ

986ボクスターは重課税のため、自動車税・重量税だけで年間 7.7〜8.6万円 がかかる
車検費用は年間換算で8〜20万円、整備は10〜20万円、保険は5〜15万円
燃料と駐車場を含めれば、年間維持費は 50〜90万円 が目安
国産車より維持コストは高いが、事前に把握して準備すれば無理なく所有できる

「安いから」と軽い気持ちで手を出すと維持費の現実に驚かされますが、知識と覚悟を持って迎え入れれば986ボクスターは唯一無二の楽しさを提供してくれる一台です。