986ボクスター 売却時の価値と減価の実例

「ポルシェを買うと売る時の価値はどうなるのか?」──これは購入検討者にとって大きな関心事です。986ボクスターは本体価格が下がり切った印象がありますが、実際の売却時には走行距離や整備履歴、グレードによって大きく差が出ます。中には買値とほぼ同額で売れたケースもあれば、短期間で大幅な値落ちを経験した人もいます。この記事では986ボクスターの売却価値に関する具体例と、減価の実態を整理します。
1. 新車からの減価の流れ

1996年にデビューした986ボクスターの新車価格は、ベースモデルで約600万円、Sグレードで約750万円でした。発売から10年以内は一般的な輸入車同様に大きく値落ちし、200万円前後まで急落しました。特に2000年代前半は「不人気モデル」と見なされ、査定額は非常に低く、中古市場では100万円以下で取引される例もありました。
2. 近年の中古相場と売却実例

2015年頃までは「安価に買える輸入オープンスポーツ」という立ち位置でしたが、近年はクラシックポルシェ需要の高まりで下げ止まり、むしろ相場は上昇傾向にあります。
- 前期型2.5L/走行10万km超:買取価格20〜40万円前後
- 後期型2.7L/走行7〜9万km/整備記録あり:買取価格80〜120万円
- 後期型S(3.2L)/走行5万km/フルオリジナル:150〜200万円での売却事例あり
👉 安値圏だった数年前と比べ、状態の良い後期型は売却価値が上がっているのが特徴です。
3. 減価に影響する要素

走行距離
10万kmを超えると一気に評価が下がる傾向があります。5万km未満の個体は希少で、高値がつきやすい。
整備履歴
IMSベアリングやRMS交換歴があるかどうかで査定額は数十万円変わります。記録簿の有無は非常に重要です。
グレードと仕様
Sグレードは常にベースモデルより高値で安定。さらに人気カラー(シルバー、黒、赤など)やオリジナル状態の保持が査定にプラスになります。
改造の有無
社外マフラーや足回りのカスタムは好みが分かれるため、逆に評価を下げることもあります。売却を意識するならノーマルに近い方が無難です。
4. 減価の実例
- 例①:1999年式2.5L/走行12万km/整備記録乏しい 購入価格80万円 → 3年後売却時20万円。維持費を含めればトータルマイナス。
- 例②:2002年式2.7L/走行8万km/整備履歴充実 購入価格160万円 → 2年後売却時120万円。大きな値落ちはなく、実質40万円程度の減価に収まった。
- 例③:2003年式S/走行5万km/フルオリジナル・ガレージ保管 購入価格220万円 → 5年後売却時200万円。クラシック需要もあり、減価は少なく「ほぼ資産」として扱えた。
5. 今後の売却価値の見通し

986ボクスターは「初代ボクスター」という歴史的価値が再評価されつつあります。今後も走行距離の少ない後期Sや整備履歴が揃った個体は高値安定が期待されます。一方で、過走行・記録簿なしの車両は相場が伸びにくく、処分費用がかかるケースも出てくるでしょう。
✅ まとめ
- 986ボクスターの売却価値は、走行距離・整備履歴・グレードで大きく変動する
- 過去には激しい値落ちがあったが、近年はクラシック需要で相場は底打ち
- 後期S・低走行・オリジナル車両は資産価値が高く、売却額も安定傾向
- 改造車や整備履歴の乏しい個体は値下がりが大きく、実質価値が低い
- 購入時から売却を意識すれば「ポルシェは減価が激しい」というイメージを覆すことも可能
986ボクスターは一時期「安く買えて安く手放す車」でしたが、今や状態次第で「資産」となり得る存在です。